2022年2月16日水曜日

表情を見て相手の気持ちを理解する能力

 先日新聞を読んでいると、「保育園児のマスク着用」についての記事がありました。感染力の強いオミクロン株の蔓延に伴い、今までマスク着用の適用外だった保育園児にもマスク着用を推奨する、という内容です。昨今の状況を考えるとやむを得ない措置だと個人的には納得しつつ、さらに新聞を読み進めると気になる内容の記事を見つけました。「マスクをつけていることで、子どもへの影響が懸念される」というのです。

 人間は喜怒哀楽を表すのに「顔」を使いますが、その際重要なのは「目・鼻・口」の3点です(確かに私たちが顔を絵に描くとき、この3点を必ず描きますよね)。この3点の全てが揃って初めて、人間は「これは顔だ」と認識できるんだそうです。この認知そのものは赤ちゃんの時期に行われるそうですが、そこで培われた能力は、その後に「表情を見て、相手の気持ちを理解する能力」の土台になるということでした。マスクによって飛沫の飛散が防止されるという効果がある傍らで、マスクは口元を隠してしまいます。このことが、表情やそこに込められる気持ちをうまく伝えられないことに繋がってしまい、トラブルの元になりかねない、という内容でした。

 調べてみると、保育園や幼稚園の先生からは「口元を見せることができず、子どもたちと信頼関係を築きにくい」という声が上がっているようです。例えば、「よくできたね」や「えらかったね!」とほめても、子どもたちには意図が伝わっていないことがある、という内容です。また、保育園や幼稚園からは少し年齢が上がる小学校でも同じような事例があるようです。自分の手が相手にたまたまひっかかったことに対して「ごめんね」と謝ったものの、マスクをしていたためか相手に伝わらず、けんかに発展してしまった、という記事も見られました。思った以上に影響は大きいようです。

 本当はマスクをしない世の中が理想ではあるのですが、まだそれは難しいようだというのが実情です。記事では顔で心の表情を表すことが難しい分、身体で気持ちを表すようにする方法が提案されていました。嬉しい時には両手を上げる、悲しい時には泣き真似をするなど、表情が見えない分、いつも以上にボディランゲージを使ってコミュニケーションを試すのも一つの工夫とのことです。

 私たちが日々を過ごす中にはさまざまな気持ちが行き交います。その気持ちを表現すること、受け止めることは大人にも子どもにも大切なことですし、子ども達はそれぞれが成長する中でその力を育んでいくものだと思います。しばらくはマスク着用を余儀なくされる世の中が続くように思われますが、その間はボディランゲージ等をうまく使ってコミュニケーションを育み、コロナ禍が終わり、普段通りの生活が戻ってきた時には、顔いっぱいに表情を見せられるようでありたいものです。