毎晩冷え込む日々が続いております。もう寒さにはうんざりしている今日この頃です。しかし季節が過ぎ去るのは早いもので、もう2月が終わろうとしています。1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」という言葉があるように、特に今の時期は、あっという間に月日が流れていきます。月日が流れるのはゆっくりでもいいと感じますが、寒さからは早く解放されたいものです。
そんな寒さの中、実家の家の木に桜の花に似た花が咲いているのを見つけました。この時期に咲く有名な花、「梅の花」です。私の実家の周りでは、この時期によく梅の花が咲いているのを見かけます。今回は、そんな梅の花に関するお話を1つ。
今の日本では、花見といえば「桜」ですね。桜は日本人に古くから愛されてきた花であり、日本の象徴ともいえる花です。しかし今から約1300年前の奈良時代では、桜より梅の花のほうが、人気があったようです。奈良時代の花鑑賞といえば、梅のことを指していました。貴族たちの間では造園する際、梅を入れることが定番となっていたようです。その人気ぶりがうかがえるのが、「万葉集」に詠まれた梅の数です。「万葉集」という歌集は、高校受験でもよく出てくるので、中学生のみんなは、よく知っていますよね。この万葉集の中で、桜を詠んだ歌は43首に対し、梅を詠んだ歌はなんと110首。梅は桜の倍以上も詠まれているのです。当時は中国との交易が盛んだったこともあり、多くのものが日本に伝わってきました。その中の1つに梅があったようです。桜は古来より日本で大切な存在
であることは変わりありませんが、外の文化のものや新しいものに興味を持ち、それを取り入れようとするところは、今の日本人と大して変わりはないのではと感じます。流行やブームというのは、いつの時代もあるようですね。
その後は遣唐使の廃止を機に、日本独自の文化が発展していく中で、桜ブームが到来し、今の日本にも繋がる「桜」が日本の象徴として君臨することになっていきます。
以上、梅にまつわるお話でした。
梅からしてみれば、日本人に勝手に持ち上げられ、勝手に桜に乗り換えられと、いい迷惑でしかありませんよね。1000年以上も前の出来事なので、なんとも思ってないかもしれませんが・・・。