2022年5月27日金曜日

子どもの力

 早くも新しい学年が始まって2 ヶ月が経とうとしています。 5 月は新しい学年に慣れて来る時期でもあり、同時に新しい学習内容の難しさに直面する時期でもあります。

子どもが「分からない」と言ったとき、大人はどうするでしょうか。「え、なになに、どこが分からないの?」から始まり、「何で分 からないの?」、そして「 〇 〇 が □□ でしょ、、」と事細かな説明、と繋がっていくことが多いかもしれません。そして、こちらが一生懸命説明しているにも関わらず、その内容がうまく伝わらないときはつい声が荒くなってしまって と言うこともあるかもしれませんね。

ところが、その解決法は意外なことに子ども自身の中にあることが多いです。

忘れられない授業を見学したことがあります。いつものように授業が進み、そして難関がやってきました。そこかしこで「分からな〜い 」が言葉に、表情に出始めます。一人一人引っかかる場所は違います。 全員に事細かに説明するのは至難の業です。

そのとき、先輩教師は「そうか、分からないのか」と言いました。次に何を言うのだろう、と私が思っていると、何も言うことなく難関に取り組む生徒をただ見守ったのです。見守られた生徒は「分からない う〜ん 」を繰り返しながら考え続けました。そして、突然「あ!」と叫んだのです。「分かった!」と。私は驚きました。何も先輩教師はしていないのに ただ見守っただけですからね 、生徒が自力で問題を解いたのが不思議でなりませんでした。

授業後、先輩教師に「今日のことってどう言うことですか?」と聞きました。すると先輩教師はただ一言、「子どもの力って凄いんだよ」と言ったのみでした。その時はそれで終わりでしたが、私の心の中には忘れられない経験が残りました。

子どもたちが持つ力には素晴らしいものがあります。その力を実際に引き出すのは子どもたち自身です。教師はじめ大人にはそれをうまく手伝うことが大切なのだろうと思います。子どもたちの力を信じ、子どもたちの力を引き出す、そういう教師でありたいと心から思います。